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デール・マハリッジ 『日本兵を殺した父」ピューリッツァー賞作家が見た沖縄戦と兵士達

Bringing Muligan Home=The Other Side of the Good War
Dale Maharidge
藤井留美訳

図書館で借りて読んだ。
作者の父親は、沖縄戦に海兵隊員として参加して、過酷な戦場での経験と爆風の脳しんとうの後遺症で、戦後、心に疵を残し、暴力衝動を抱いたまま子育てをした。鉄工の熟練工だった。
そんな父親の死後、著名なジャーナリストである著者は父の戦友を取材する。また、沖縄を訪れ、当時戦場にいた日本人、父親の遺品の中にあったパスポートの日本人の息子などを取材する。
年老いた元海兵隊員達への取材は周到で、読みごたえあり、『1940年代の日米の戦いは、帝国がもうひとつの帝国を攻撃した図式に過ぎない」と断言する作者の視点は公平だった。
アメリカ軍も積極的に捕虜をとって人道的に扱かったとは言い難く、必ずしも戦陣訓の「、生きて虜囚の辱めを受けず」等、日本側の軍事教育で投降できず日本側の戦死者が多かったとは言えないようだった。
捕まえた日本兵、民間人を殺したり、強姦などもあったという。ただ、そういった行為は軍法会議にはかけられるようで、容疑者は自らの足を撃って、戦場を離れたりもした。老いた元海兵隊員達の語る戦場の惨状と狂気の描写は迫真であった。
また、大体において、それ程成功したとは言えない彼らの戦後の生活の様子もリアルで、実は非常にうら寂しくもあるアメリカの雰囲気がよく分かった。
また、戦略上、マッカーサーが効率的に、補給路をたったり手薄なところを叩いたりと犠牲者を少なくすることを目論んだのに対して、ニミッツは昔風に、正面から殴り合う決戦主義だったらしく、ニミッツの考え方で動いた沖縄戦では、大変な犠牲者が出る事になったと言う作者の分析も初耳で興味深かった。
本書の主要部分である、父親の戦友だった海兵隊員達への取材の部分は最高だったのだが、
、作者自身の育った家庭を語る場面では、精神分析的に父親の戦後の荒れた状態を戦争体験に結びつけているが、分からないでもないが、本当のリアリティーには欠ける気がした。類推は出来るが、親といえど他人の心はあくまで不可思議であることが前提だろう。
最後の沖縄の人々への取材では、「日本兵の方がアメリカ兵より酷かった」等、アメリカ人の作者に好意的だ。
その辺りの交流は美しく描かれているが、異国の人が遠くからわざわざ来れば、相手の感情を害することは言わないだろうなあ、という感じもするし、沖縄人の戦後日本へ不信感、言語や文化の壁もあって、そう単純な話しではないだろう。
作者の視点は一貫して、シリアスで善意に満ちているが、取材する気持ちとすると、こんな凄い話し聞けちゃったという、戦後に育った多くの人が見ることのない悪魔の住む深淵を覗けたとい言う喜びもあったに違いない。
それ自体は悪いことでは全く無いのだが、まとまった書物とすると、自分の知りたがりと突撃精神を嗤うユーモアのようなものも欲しい。

追記
日本軍は強いと言うのを、この本読んで実感して、正直ちょっと嬉しかったのを、書き忘れた。
元海兵隊員達も心底恐れていたみたい。
国力がもう少ししっかりしたらどうなったかと思う。ソ連が入ってきた北方領土での最後の戦いでも、ソ連側の戦死者の方が多かったようだし。
こういう気持ちが戦時では盛り上がってくるのだろう。
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