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阿部合成 「見送る人々」

阿部合成

阿部合成作 見送る人々 1938年 兵庫県立美術館蔵
反戦的絵画の金字塔です。
ちなみに、名前の合成(まさなり)は、1910年日韓併合の年に生まれたのでそれを記念としてつけらたが、思春期になって由来を知りその侵略的な響きを嫌ったとのこと。

前年から日中戦争が始まっていましたが1938年の二科展に出品して物議を醸した作品。
出征する兵士を見送る人々を描いている。
針生一郎氏著「修羅の画家ー阿部合成-」(岩波書店同時代ライブラリー)によるとグラフ雑誌「国際情報写真」の「戦時の秋美術展号」に口絵として掲載されたのをみたアルゼンチン駐在公使が「退廃不快の印象を与え日本人とは思えない」と取り締まりを要求、以後官憲に反戦画家として睨まれることとなったそうです。
特に反戦プロバダガンダ的なものが描かれているわけでもないので、最初はなんのお咎めもなかったのに、高級官僚の一言でいきなり時局に合わない非国民的なレッテルが貼られたという事の次第のようです。
確かに陰鬱で変な顔の日本人がたくさん登場してさわやかとは言えず、一見不快かもしれませんが、美術品としてみれば実に生き生きとした躍動感のある健康なものですね。
多少調べて見ますと、左翼青年でありプロレタリア美術運動が呼び水となっている面はあるようですが、どうも、反戦でも翼賛でもなく普通に時事に就いて真面目に描いたらこうなったというのが実情のようです。
まあ同業者の端くれとして言わせていただきますと、自分の絵が自分と別人格を持つかのように自立して生き生きと蠢き出すのは実に快感なものですが、出征を誇らしいものとして見送る美男美女だとそうすることが難しく、いわゆる「退廃不快」の雰囲気の方がやりやすかったのではないだろうか。
この時点で、形や色や線を使って太古から人間が営々と続けてきた描くという行為と、描かれている顔つきや情緒との結びつき方に不健康なものが入り込むことを拒否するには、阿部合成の資質ではこうするしかなかったということだろう。
戦後、伝説の画家として無頼な貧乏生活を送り、晩年に革命の匂いの残るメキシコで高評価を得ますが、今まで写真で見たところ、良いものとは思いますが、この「見送る人々」ほどのずば抜けた力を感じることは出来ませんでした。
画家として絵に没入するうちに絵の中に、官憲がそう見なすところの「反戦」が自然にそだったような稚気が「見送る人々」にはあって人を惹きつけるのだと思いますが、戦後のは「反骨」が先にあってそれを絵に押しつけているようなところが少し息苦しい。
でも、戦中にハンサムな兵隊やハリウッド映画のような戦闘場面を描いていた画家が、戦後、可愛い少女や裸婦を描いて大金持ちになった事を思えば、やっぱり彼は立派です。
今でも、良い作品を、何かの弾みで神経質な嫌悪で拒否してしまう狭量さが依然として人々と社会の間にそうとは見えず頑としてあるのを痛感する今日この頃です。
体制を守るためと図式的に言うことが今は出来づらいのが寧ろ辛い気もしますが、いつの世も、その時に遡ってみれば、そんなものなのかもしれません。まあ、何かの弾みで逆にとんでもないものが受け入れられちゃうこともあるのだけれど。
1972年に癌のため61才で他界した。





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テーマ : art・芸術・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag:美術・彫刻・絵画  comment:6 

Comment

江戸川台のきょん URL|「専門は有機合成です」
#pYnNxVVQ Edit  2013.10.29 Tue05:39
やあ。 面白く読ませてもらったよ。

 オレも合成化学屋のはしくれかな、なんて思っているし、
「専門は有機合成です」なんて言うことにしている。

 さて、おっしゃる通りなのかもしれないけど、この絵が描かれた
1938年当時の背景というかね。 ちょっと唇厚いし、目もぎょろっと
してるけど、12月くらいか? 奥さんや娘はいないね。赤いのがそう?
いや、それは「妹」で、「娘」は赤ちゃんの方か!

 日本人の成人男子の身長は10cm、中高生ではもっと今のほうが
高くなったような気がする。 むろんなにやらの即席食物を千年食べた
ところで、「金髪」にはなるまいが(笑)

 インパクト(強い印象)もエナジー(力強さ)もあるじゃん。
この絵の左の方は、二重橋でも、その付近をゴールとする、
箱根駅伝でも合うかな。その意味では「都合よく使われてしまった」
のかもなあ。

PS 右の二人、ゴーギャンかいな!
ぎんよう URL|Re: 「専門は有機合成です」
#F.S2sd/w Edit  2013.10.29 Tue10:31
有機合成君、君は103歳だね(笑)
右端のゴウーギャンは、自画像と盟友常田健、みぎ頬を隠しているのが妻、その前の横向きが長女、中央に子供を抱くのが亡父と長男、で左の少年が可愛がった教え子という事らしい。
事の次第と知恵では案外、戦争賛美としても使えたのかもしれないし、その意志も或はあったのかもしれないがが、結局はアルゼンチン公使の発言をきっかけに反戦画家の烙印を押して、見せしめに使っただけのようだ。
結局、官憲は、狭量な感性しか持てなかったという事なんだね。
江戸川台のきょん URL|「ポイント還元セール」なんかかもね!
#pYnNxVVQ Edit  2013.10.29 Tue12:54
 やあ、「関係者出演、多数」なんだね。

 そういや、その当時の背景や風潮は知らず、私も直近、
官憲によって 何? 指定場所停止不履行? だかなんだか。

W:「なぜゆえに、取り締まりを?」
K:「所管内で、死亡事故が多いから」
W:「こんな見通しの良い場所で?」
K:「・・・」

 要は、”感性”というよりも、「ポイント稼ぎ」なのかなあ、
いつの時代も・・・なんて思った。
ぎんよう URL|お気の毒。
#F.S2sd/w Edit  2013.10.29 Tue16:58
待ち伏せしていて、さっと捕まえる。あれは、狩猟本能もあるな。
江戸川台のきょん URL|? と言うか・・・
#pYnNxVVQ Edit  2013.10.29 Tue23:26
「まちぶせ」は 石川ひとみ トラは雌
・・・だって、トラまらない。
ぎんよう URL|Re: ? と言うか・・・
#F.S2sd/w Edit  2013.10.30 Wed07:04
それは、妻マラないぞv-12
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プロフィール

ぎんよう

Author:ぎんよう
彫刻家でもある鈴木厚が磁器を中心に器を制作しています。

我が家の掃除機の塵の放射性物質
Cs137:641Bq/kg(検出下限39.7)
Cs134:211Bq/kg(検出下限19.3)
Cs合計:852Bq/kg(検出下限58.0)
採取時期:2014/1月~2014/3月

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