ラファエロ「アテネの学堂」

これは、押しも押されもしない、大名作ラファエロのアテネの学堂。
しかし、これって昭和の匂いしないだろうか。我々子供時代の図鑑みたいなケバケバしさと薄暗さ。特に最近の修復後はケバケバしい。
少し前の、ピエロ、デルラ、フランチェスカやボッティチェリみたいに自然で優美とは言えない。
ルネサンスも爛熟して、どんどん、写実的で理想主義的、キリスト教でギリシャ・ローマ等、複雑で微妙、しかも壮大と全てを実現した表現をしたくなってきているのだろうが、油彩と違い作業に時間をかけられず、色を厳密にコントロールできないフレスコでは無理があるのかもしれない。
あるいは、近代に近い時期での古典主義の宿命と言ったらよいのだろうか。
でも、暑苦しい葛藤と無理を孕みつつ非常にパワフルなこの感じ大好きだ。

しかし、現在の貫入みたいなヒビを完全に消して、ここまでキレイにしてしまうと、侘びサビとは無縁を自負する私でもちょっと、、、、
勘違い的な後世の加筆は取り除くべきだろうが、良い感じの汚れ具合を保ってきた営み=長きにわたり作品を大切に伝えてきた思い入れの痕跡、への尊敬みたいなものもあって良い気がする。

アテネの学堂修復前
修復前
アテネの学堂
修復後
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テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

Tag:美術・彫刻・絵画  comment:6 

Comment

江戸川台のきょん URL|限定50部、新たに摺り直しました
#pYnNxVVQ Edit  2012.09.20 Thu01:20
はは、

 ホンモノを見たことがないので、なんとも言えないのだけれど、
真ん中の折れ目の部分が一番目立つ以外は、”権利者の許諾を得て
限定50部、新たに摺り直しました”なんていう、版画みたいだね。

 「修復後」、成長著しいファミリーレストランの”天井画”のようにも
見えない???
ぎんよう URL|Re: 限定50部、新たに摺り直しました
#F.S2sd/w Edit  2012.09.20 Thu07:59
そういうことよ。名作はあがめ奉らないで、正直に見るのが大事よ。自分に正直に見て30年も経つと、変なところを含めて、チラッと良さが分かってきたりするのが名作ね。美術って、ある面で言えば、今日では、それほど感動的なものではないんだね。勿論、いろいろ、人生の岐路に立ったり、大変な思いをして外国まで行って本物見た、物凄い並んだ、等の条件で感動することもあって良いんだけど、それは、また別の話。
新しい美術を育てるには、やっぱり、あがめ奉らないで古典の良さを理解してい世の中であることも大切だと自分は思っている。そうでないと、煙に巻いたような偉そうな作品や砂糖菓子みたいに口当たりの良い美術に騙される事が多くなる。
muko URL|itaria
#0vbpEIVE Edit  2012.09.20 Thu08:00
イタリア人はピカピカに元通りにするのが好きみたいです。
フランスに行くと、ちょっと違う。
ぎんよう URL|Re: itaria
#- 2012.09.20 Thu08:24
顔料によって退色の具合が違うから、キレイにしてもバランス崩れて、当初には戻らないのにと思うのだが。
それを、鑑賞に不都合でなくするのが、センスの良い、汚れだとおいらは思う。
持っている人のセンスで美術品って変わるからね。
カデンツァ URL|
#- 2012.09.21 Fri10:56
私の古いパソコンだと、修復後の絵は真ん中の線が消えた代わりに、逆に画面全体も白っぽく薄くなっています。
なんだかクリーニングの染み抜きといっしょに色落ちまでしてしまったかのような。。(卑近な例ですみません)

福岡伸一さんの「フェルメール 光の王国」の中の、ウィーンの美術史美術館でフェルメールの「絵画芸術」を観た時の修復の印象についての記述が印象的でした。

意外なまでに落ち着いたトーンなので福岡さんが修復士の方に質問したら、
「ずっと個人所蔵だったために修復されなかった稀有な状態をむしろ大切にして、その後の修復も最小限にとどめる考え方を取った。それは時間の流れをできるだけ取り込む、ウィーンという街の時間に関する伝統的な哲学なのだ」という答えで、
なるほどと興味深かったです。

修復に対する考えは、学校によってもその絵の持つ性格によってもちがうようですね。
楽器についても同じことが言えると思いますが、永遠の課題なのだと思いました。

ぎんよう URL|難しい課題
#F.S2sd/w Edit  2012.09.21 Fri17:42
まあ、パソコンのモニターでは正確なところは分からないですよね。
>クリーニングの染み抜きといっしょに色落ちまで
よく分かる面白い表現ですね。
いろいろ考えてみると、よくこんがらがってくるのですが、この16世紀初めのイタリアのフレスコって油絵が主流になる直前で、内容的に油彩画の方が良いのかなと言う面があり、どうもゴタついたところがあって、そこも他にない魅力だと思うのですが、スッとのみ込みづらい所があるかと思います。そこが、修復でストレートに出てきて戸惑うと言うことかもしれません。
我々も、こういう内容は油彩画で表現するのになれているところがあるし。。
バロック以後は割合単純に、汚れを落としたりする分には、それほど、違和感でないのかもしれません。
修復も、本当に時代によっても流行があるみたいだし、結論のでない難しい仕事のようですね。
そう言えば、以前話した気もするのですが、室生寺の五重塔が1998年に台風で壊れたときに修理したのですが、その時、屋根の跳ね上がりを、創建当時の中国風と見慣れた明治の和様の修理の中間の形にしたという話しを聞いたことがあります。日本は中庸的な修復が主流なのかもしれませんね。
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ぎんよう

Author:ぎんよう
彫刻家でもある鈴木厚が磁器を中心に器を制作しています。

我が家の掃除機の塵の放射性物質
Cs137:641Bq/kg(検出下限39.7)
Cs134:211Bq/kg(検出下限19.3)
Cs合計:852Bq/kg(検出下限58.0)
採取時期:2014/1月~2014/3月

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