ロクロの毎日。。。

IMG_4583.jpg

染付の生地を挽いている。
これを、完全乾燥後、まず低温(830度くらい)で素焼きし、呉須と呼ばれる絵具で絵を描き、釉薬で覆って1300度の高温で焼成すると、白い磁器素地に青い線の模様の染付になるのである。
一番でかいので、高さ50cmぐらいの瓶。
出来上がりで、45cmぐらいだろう。
背の高いでかいのをろくろで挽くと何となく本格的な陶芸家になったような気がしていい気分だ。
後ろに、昔作ったアホな木彫や絵が写っている。

自分の技量で一回で挽くのは無理なので、大体3~5kgのを磁土を二玉用意して、上と下を別々に鉢形に挽き、次の日少し硬くなったところで、接合する。首の延びているところと口の開いているところは、接合してから水をつけてロクロで挽いて延ばして作る。
真ん中のところに接合のあとがうっすらと見える。
少し白くなるくらいの乾燥状態で、手前の一番大きいのが、6、3kgぐらい。

2つに分けて挽く事の長所は、
ロクロで挽くときは水で柔らかくなっているので、一発でこのぐらい大きいと自分ぐらいの技術だと、相当下のところを厚くしないと自重で崩れてしまいやすいのだが、二つに分ければ挽くときの重さも半分なので薄くしても大丈夫なので、あとで余分な土を削りおとす作業がかなり楽だ。
接合前に内側を削って形を整えたりする。
接合するのは乾燥が進んでかなり硬くなっている次の日なので、下のところが薄くても上の重みにたえられるのである。
欠点は、やっぱり形が不自然になりやすく、また接合面を正確に作るのが難しく、傾いたり形が歪みやすい。

IMG_4581.jpg
削っているところ。電気ロクロの上に、シッタと呼ばれる筒状のもの(素焼きのもあるがこれは、生乾きの信楽土)を据えて、それに半乾燥の品物をはめて、旋盤のように回して、厚過ぎるところを落とし、逆さまに据えて高台を削りだす。
こうして見るとでかい。立って作業した。


IMG_4577.jpg
カップ・ソーサー
薄さ=軽さを追求したら、把っ手も付けて15客に5日もかかってしまい、しかも体中痛くてたまらなくなった。

IMG_4576.jpg
ティーポット、あとすだれのない持ちやすい形を目指しているが。。。

冒頭の三つの瓶を作るのに、一発で挽いて崩壊して磁土10k練り直したり、失敗も入れて二日で延50キロぐらい挽いたが、50過ぎな上に、やっぱり若い頃からやっている訳ではないので、すぐ疲れる。
昨日はどうにも動けなくなって、図書館にさぼりに行った。
借りて来た中国美術の本。元代の美術。
スキャン
青花蓮池水禽図稜花盤 景徳鎮窯 14世紀 青花とは染付の事。
スキャン 2
青花蓮池水禽図壷 景徳鎮窯 14世紀
凄い。このベタな凄さが、押し付けがましくて辟易だと朝鮮の古染付や初期伊万里の方を好む日本人は多いし、それもよく分かるのだが、凄さのための責任感があるというか、交響的に表現されている内容の複雑さ豊富さがやはり素晴らしい、人類の代表としてその限界をケレンみなく追求しているようで、傲慢ではないと自分は思う。。
もう少し時代が下ると、景徳鎮のものでも内容が貧弱になって、ギラつく強さばかりが目立つものが多くなってくるようだが。

スキャン 1

1372年作 倪瓚筆
名作だと思うが、14世紀でもう既に、作者個人のみの気持ち・世界観・視点というか、世の中の片隅からややシニカルに世界を見るマイナー意識があるようだ。
長閑なんだけれど、どこか病んでいる。
凄い。

ついでに中国美術をいくつか
スキャン
雲岡の大仏。北魏時代。
あんまりデカイし、変な顔だし、どちらかというと観光名所で、なかなか美術品としては見づらいが、このごろ写真でしか見た事ないけれど、やっぱり良いのでは思うようになった。
一般に、北魏の石仏は中国の古代美術の中では、例外的に超絶的でないというか、不器用な感じがあって入りやすい。奥行きというか、良さに屈折があって自分は好きだ。
これは、仏教の教義のためか、本場インドの美術様式を真似てギクシャクしたか。
どこか、動揺している感じがする。


IMG_4586.jpg

ところで、今日は寒いが、昨日は一昨日片口(酒注ぎや、ドレッシング注ぎ、水注ぎ)をいっぱい挽いて、昨日と今日で削って仕上げ。
いろいろ試したが、自分の場合、普通に水挽きして、半乾燥後ペラペラに薄く削ってカップを作ってから、水につけて再び柔らかくして、器の周を楕円形にする(持ちやすく、注いだ時にピッと水切れする)のが良いようだ。

世界美術を論じても、作るのは一つ5000円からの染付ドレッシング入れだ。
でもですね、まともに100万円(売れなかったけれど)の彫刻で世界美術を目指していた頃よりも、遥かに頭のふたがあきやすいというか、良いものがでやすい感じはある。彫刻や絵では一つに何ヶ月もかけないと、良い状態にならなかった。
なんでもない、普通に使われて、世の中の片隅で捨てられちゃうかもしれないものに命かけると、なんか上手く行く感じがあるんだな。
絵もやり彫刻もやり、スタイルもテンデンばらばら、業界有名人のバカ息子の特権で人のなん倍もフラフラして経験してきた事のすべてを、染め付けドレッシング注ぎに注ぎ込んでいるのさ。

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Tag:陶磁器  Trackback:0 comment:18 

Comment

ヒガシ  URL|
#- 2010.11.18 Thu11:29
いるのさ。、、ってキザだなぁ・・・・

つるつるとゆったりゆっくり読みました。
お久し振りです。
ぎんよう URL|ひがしさま
#F.S2sd/w Edit  2010.11.18 Thu13:18
> いるのさ。、、ってキザだなぁ・・・・

いや、お恥ずかしい。
そうだから、良い、と書いているのに、今作っている雑器をアートとしてみてくれない人がほとんどで、つい興奮してしまいました。矛盾してますよね。
彫刻やっても良い事無かったけど、敬して遠ざけるの、「敬」の部分は懐かしいです(笑)

ところで、この文章を書くときに、昔粋がって読んでいた漢文の事などあげて、日本や朝鮮とまるで違う世界帝国の文化についてゴタゴタ書いてみたのですがやっぱりちゃんと書けませんでした。
少し、匂いとして文章に残こしているつもり。

ところでもう一つ、この間、美術部のま◯きさんに会いました。
若かった v-238

時々でいいですから、コメントお願いします
HIRA URL|
#s8X6/Gt6 Edit  2010.11.18 Thu17:24
す・・・凄い。
いいね。とってもいい!!
ぎんよう URL|HIRAさま
#F.S2sd/w Edit  2010.11.18 Thu17:38

ほんとですね。良いだけでなくてもの凄い量!しかもどんどん地中から凄いのが現れてくる!
どんだけ凄いのでしょうね。中国の古典文化!
シド工 URL|
#- 2010.11.18 Thu17:41
最後の文句。


しびれました。


ぎんよう URL|シド工さま
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.18 Thu18:28
いやどうも、というかお恥ずかしいというか。。

本当はこの文章、書き始めたときは、昔かじった「史記」などをあげて、紀伝体と編年体の違い、大国文化の良心と罪深さみたいな事まで論じていたのですが、そう成ると今の日中関係のこじれまで触れたくなって来て、いろいろ書いたのですがやっぱり自分の頭と知識では手にあまりあきらめました。

ところで、高村光雲の幕末の体験記読んだ事ありますか。さすが、光太郎のオヤジという面白さでした。
C橋 URL|
#- 2010.11.18 Thu22:39
この前急須を割ってしまい、2回急須を買い換えました。
最初に買ったのは大きさは大きいのですが意外にお湯の量が入らない。
中途半端に上品なのか下が絞ってあるため実用性に乏しい急須。
しかも注いだ後滴が落ちる。
次に買ったのは小金原商店街の陶器市で買った廉価品。
でも容量も十分あり滴も落ちない。
そういう意味で急須って実用性と作品としての出来などからすると奥深い器だなと思いました。
スイマセン。素人の寝言ですが…
Jack URL|
#- 2010.11.19 Fri04:04
背の高いモノ、出来上がり楽しみです!又、ウチのがティーポットを一つ必要としているので、完成したら1つ購入したいです、宜しくお願い致します。私は昭和3年刊の「戊辰物語」を持っていますが、それですか?仏像が川に流さて捨てられたり、埋められたりの話が載ってますよね。再版のモノでは削除されている鉄舟先生の娘さんの話等はチョット表現に頷けない部分もあり、史実調査資料としては50点ですが、読み物としては面白い本ですよね
シド工 URL|
#- 2010.11.19 Fri06:00
「幕末維新懐古談」でしたっけ。

おもしろいですよね。



しかし、すごい文章力だなぁといつも感心しております。

ぎんよう URL|c橋様
#F.S2sd/w Edit  2010.11.19 Fri07:51
おっしゃるように、急須は奥が深いです。
急須専門の職人さんいますからね。やはり、かなり値段しますね。
あの、茶こしのアミをやはり瀬戸物で作らないと面白くないじゃないですか。
産地では皆が同じ土を使うから出来るのだと思うのですが、網を専門に作る職人がいて、粘土の状態のを乾かないようにタッパウェアーに入れて窯元を回るのだそうです。
あれは薄いところにたくさん穴を開けるので、やった事ないですが考えるだけで憂鬱です。
それに、これは多分なのですが、みんなせっかちになって、お茶がじゃんじゃん出るよう、茶こし網が随分大きくなって来ているようで、また難しい。うちの父、祖父の使っていた古いものを見るとみんな小さいです。
という訳で、やらなくちゃとは思っているのですが、いまだやっていません。
私も、お茶好きで毎食後大量に呑むので必要なのですが、自分で作れば良いのに、スーパーの安物をせっかちだから、蓋のところからジャージャーこぼして妻に文句言われています。
ぎんよう URL|シド工さま
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.19 Fri08:25
> 「幕末維新懐古談」でしたっけ。
失礼しました。
貴君の文章の感じからきっと面白く読むのではと推定したのですが、やっぱりご存知でしたね。

>しかし、すごい文章力だなぁといつも感心しております。
ありがとうございます。
美術品の場合、バランス良く生き生きとするというか、まあ、言葉ではうまくいえないですが、造形的にキチッとするということかな?が私にとっては凄く大変で、そのためには、表されているイメージはどうでも良いというか、平気でホラ吹いちゃうようなところがあります。自分の気持ちというようなところに限定すると、もう、駒が足りなくて全然作品が出来上がらないという感じです。時々、いいのかなーとは思っているのですが。。
対して、文章だと、ホラ吹いちゃうと、自分の人格から出たものとされますから、どうも後味悪いです。
それで、何回も考え直して、嘘は書かないように、かなり気をつけています。
でも、サービス精神というか自己顕示欲というかやっぱり面白くやりたいのですが、普通に淡々と書いても出来るときは出来るのですがあんまり、結論が出なくて、難しくなってきたりすると、苦しくなって、やっぱり口が滑っちゃうというか、走っちゃうときがあります。
当たり前の事ですが、美術も文章も奥が深いですね。


ぎんよう URL|Re: タイトルなし
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.19 Fri08:42
ティーポット了解しました。
ありがとうございます。
光雲の本のお話、レアものお持ちということ、恐れ入りました。
私は、シド工さんのコメントにもあるように、岩波文庫の「幕末維新懐古談」です。
随分前に読んだので忘れてしまったのですが、大仏マニアの私としては、上野にあった大仏の話が面白かったです。今でも、顔の一部だかが、展示されているようですね。
光雲さんの彫刻、光太郎が否定したような詰まらないのもありますが、やっぱり、下卑たところあったとしても、スケールが大きくて自分は興味が非常にあります。
この間、父の弟子のa氏が見て来て感動していましたが、長野の善光寺の仁王等相当良いのではないでしょうか。
宮内庁ののチャボも。
イワノビッチ URL|並木の井坂
#- 2010.11.19 Fri10:10
 私が持っているのは、新人物往来社版ですが多少内容が違うという話しです。浅草の大火の場面は、大スペクタクルですね。ベンハーのようだ。
 道具マニアにとってこの本は並木の井坂という店について語っていることで有名です。「ノミは国弘、カンナは義弘、チョウナは三の輪、キリは木瓜屋でとどめさす」の義弘という鍛冶屋が専属だった店です。現在の河合鋼です。この間、T刃物店主と光雲の刃物の調査に行きました。その当時のものはないかんじでした。
 浅草の大火のとき土間に埋めてにげたので助かった、という修行時代からの刃物はさすがにありませんでした。
ぎんよう URL|Re: 並木の井坂
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.19 Fri16:12
みなさん、光雲については私などよりお詳しいのね(笑)
なるほど、鑿の国弘云々については、tさんの本でよく耳にしたましたので小生も知っています。
私も、渋谷の吉沢道具やで買った国弘の青紙カンナ持っていますぞ。。。。ハハは。
そういえば、伊藤先生だったと思うんですが、光雲の道具持っていたんではなかったかなー。

貴君ご推薦のもう一冊、チェリーニの自伝も面白かった。
あの人の生涯はやっぱり面白いらしく、ベルリオーズのオペラにベンベヌート・チェリーにという曲がありました。聴いた事ないけど。

イワノビッチ URL|義廣
#- 2010.11.19 Fri21:17
 チェリーニ自伝推薦したっけ、あれはチェリーニのあまりのヤクザぶりに、あきれたおぼえがあるだけ。
 それから、義廣の廣まちがえました。
洒落陶 URL|
#- 2010.11.19 Fri21:27
接いで作れたら、それに越した事はないですね。そろそろ、動画をアップしようと思って
います。土こねから順に行こうかと思っています。
ぎんよう URL|Re:義廣
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.19 Fri22:39
かなり推薦されたぞ。あの時代は鋳造法が衰退していたが彼が独力で復活したとか。
あの、メディーサだかの生首持っている、男の裸像の鋳造場面がなかなか、オトコな感じで良かった。
>義廣
田んぼの義廣だっけ?
ぎんよう URL|洒落陶様
#Yx4q6d1M Edit  2010.11.19 Fri22:46
超した事ないというより、それしか出来ないです(笑)
一尺超えたら腰の厚み1寸もなければとてもとても。。。
動画もの凄~くたのしみです!

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プロフィール

ぎんよう

Author:ぎんよう
彫刻家でもある鈴木厚が磁器を中心に器を制作しています。

我が家の掃除機の塵の放射性物質
Cs137:641Bq/kg(検出下限39.7)
Cs134:211Bq/kg(検出下限19.3)
Cs合計:852Bq/kg(検出下限58.0)
採取時期:2014/1月~2014/3月

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