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ジョン・ダワー著「敗北を抱きしめて」

ジョン・ダワー著「敗北を抱きしめて」という本を読み終わった。
日本の敗戦と占領の時期を扱った歴史書であったが面白かった。
まず、1959年生まれの私の子供時代の記憶で、ああこういう事で、あの事はああなったんだ!という風に目から鱗ということも多かった。
一例を挙げると、私の子供の頃の父母たち、小学校の担任など大人たちの戦争についての話では、「天皇陛下にそんなに大きな裁量権はなく、一部の軍人が突っ走って戦争になった」という風に話していた記憶があり自分もそのように思っていたのである。
が、それは多分にアメリカ側の意向、特にマッカーサーは非常に天皇を大切に扱ったようで、その戦争責任をかなり作為的に覆いかくしたいう事に由来するところが多く、やはり天皇に責任は無しとは言えないようであり、なかなか衝撃的であった。
総じて、ダワーは一般に今日、日本古来の国民性とされているような事、例えば、おかみの言いなりになりやすいところ、責任の在処を明確にしないところ等は、必ずしも固着のものではなく、占領時のアメリカの施策と戦時中からの官僚組織、返り咲いた政治家、大資本家たちが、あるいは無作為に温存、あるいは手を携えてい作り上げたところがあると見ていたように記憶してるのだが、なにせ、あまり普段から読みつけているとは言いがたい分野の複雑な本でもあり、5ヶ月もかかって読んでいるので最初の方は忘れてしまって他の本とごっちゃになっていたりするので、しかとは言えない。。

そして、東京裁判、天皇の戦争責任、新憲法、検閲など、一般の日本人が大きな声で語るのも憚られるような難しくて重い問題をも扱っているのだが、登場人物達は、天皇もマッカーサーも東条も、非常に生き生きと描かれている。
みなどこか滑稽なひとりひとりの人間であり、悩み恐れ考え、多くは自分の都合の良いように行動し、まれに義のために闘うこともある。
数多く登場する庶民を含めて、それらの人々が、非常に複雑に、有機的に、時に散文的に、時に明確に因果を持って緻密につながって行って話は進んで行くのだが、まるで本の中に、世界そのものがあるというくらいのリアルさとひろがりがあるように感じた。

個人的に、自分は組織音痴で、一生懸命のつもりが気がつくと独善的でまわりに大迷惑とか、妙に上司にへこへこしたりとかいう事が、短大非常勤時代、嘱託社員時代、そして今でも時々あって恥ずかしいが、どうも戦中戦後の間違えてばかりいる美しいとは言いがたい人々の群像を目の当たりにしていると自分を見ているような気がしてきて嫌だし、
また、時折、書いたり話したりしている戦後史に対する自分の考えの適当さが不安になったり、読んでいて辛い面はあった。
そして、我々がごく小さい頃、昭和30年代にまだ残っていた、ゴミゴミした埃っぽい敗戦国の雰囲気も色濃く漂っているのだが、
なぜか、全体的に言うと、、清潔と言っていいくらい気持ちのよい読後感が残っている。
当時のアメリカにも容赦のない目を向けるアメリカ人ダワーの姿勢も潔く、結果的に日本人には優しいところがあるし、あるいは、非常にこなれてはいるが、やっぱり翻訳を意識させる文章の肌触りか、くどくど理屈を並べないテンポの良さか、ユーモアのセンスか、いろいろ含めて文学的才能が非常に大であるという気がした。

実は、この本を読むのは邦訳出版直後についで2回目なのだが、今回の2回目は新しく図版の非常に多くなったという改訂版で読んだのだが、そこも良かった事も付け加えておきたい。



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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

Tag:読書(文学)  Trackback:0 comment:10 

Comment

江戸川台のきょん URL|最初の数10頁で、2週間
#pYnNxVVQ Edit  2010.09.30 Thu05:19
おもしろそうだね。

 自分の背景、自分の受けた教育の背景、そんなことを整理してみたいもの。
そうだね、1970年くらいまではね。 今図書館で小熊英二の「1968」を借りたけど、
千頁の最初の数10頁で、2週間経っちゃったな。
 URL|Re: 最初の数10頁で、2週間
#F.S2sd/w Edit  2010.09.30 Thu07:54
ああ、戦後の歴史に50過ぎると興味湧くね。
あれだな、団地萌え何かもそれの一環だな。
しかし、歴史書はいくら面白くても読むの大変だ。
面白いと思いながら、眠くなっちゃうんだな。これも歳かね。
給食のコッペパンと脱脂粉乳はアメリカの余剰の処理をおしつけられたとどこかで読んだ事がある。
娘の給食の米飯を見ていると腹が立つぞ。
イワノビッチ URL|涼しくなりました。
#- 2010.09.30 Thu13:46
 国家によるテロが一応表向きなりをひそめ、民族主義、宗教に名を借りたテロ対国家のテロの時代が始まってますね。その間に育ったのが我々でしょう、最近、とても窮屈ですね。街へ出ても居場所がない、昔は良かったとおもうのは、年取った証拠ですかね。子供の頃は、公園で子供にせんずりを教えるおじさんとか平気でいましたから。
銀 URL|Re: 涼しくなりました。
#F.S2sd/w Edit  2010.09.30 Thu17:58
何でしょうね。
確かに、すご~く、窮屈ですよね。
まあ、若い頃と違って世の中が可愛がってくれなくなって、社会から厳しく見られている面もある気はしますが、力任せの怖さを感じさせるナショナリズムは何だか力をつけてきている感じはありますね。

ルールも厳しくはなってきていて、タバコ私は今のところはやめていますが、ちっとも煙りだせないとか、我々子供の頃は、人の家の庭なんか平気で缶蹴りで隠れる場所だったし、猫も犬も放し飼いokだった。私はいぬきらいだから、今の方が良いですが。
なんとか、手足をのばしたような楽しい毎日を送りたい物ですね。
とりあえず、勝手な事をほざいても罰あたらない世の中であってほしいv-220
江戸川台のきょん URL|キミとこは、腹立ててる?
#pYnNxVVQ Edit  2010.10.01 Fri03:43
ふ~ん、腹立つの?

 それにしても、50過ぎても、腹立つのか、”立たなく”なるのか、
いくつになっても、腹立つのが人間なのか? いや、汝の名は女なり?

 ホント、母娘は良くバトルをやっとるな。 キミとこ、そんなことない?
銀 URL|Re: キミとこは、腹立ててる?
#F.S2sd/w Edit  2010.10.01 Fri06:46
ウチは、まあ、そんなにバトルしない。
ちゅう @m78seven URL|閉鎖基地
#- 2010.10.02 Sat09:39
流山町に引っ越した時、住所は「初石新田」と呼ばれていました。小学校低学年の頃、近所の年長者(子ども)に連れられて、年1回だかの米軍基地公開日に行きました。
兵器などについては全く興味がなく(展示されていたかも記憶がない。また、そもそも通信基地だった。)、もっぱら「只で食べ放題」のお菓子やらドリンクやらを夢中になって食べまくりました。うまくて、欲張りだったので食べ過ぎでした。何やら映画なども上映されていたようです。そんなことより、時間内に食べることだけに熱中していました。

翌日は腹痛と発熱で学校を休みました(笑)。そんなことは初めてで、無茶食いには気をつけようと反省したものです。

基地に行ったのはその1回だけで、その前後の年に公開日があったのか、知りません。もしかして、最後に撤退する時に行ったのかもしれません。いつ撤退したのかも知りません。
その後永らく広大な土地は閉鎖されたままでした(なぜか短波帯のアンテナは残ったまま)が、今は東大の新キャンパスに様変わりしています。

当時は家から少し歩いて下ると初石~江戸川台の広大な水田地帯が開けていました。
銀 URL|Re: 閉鎖基地
#F.S2sd/w Edit  2010.10.02 Sat12:47
流山にも基地あったんですね。
おぼろげながら記憶が、、

私も大学卒業して、福生に引っ越し、基地の開放祭は行きました。
とにかくでかかったのに驚きました。
講堂だか格納庫だか分かりませんが、中にでっかい輸送機みたいのも飾ってあり、その講堂の片隅に、日本の住宅ぐらいの大きさぐらいの建物が余裕で建っていたりしました。
喰う物もただではなかったですが、安くて超大盛りだった
余談ですが、そのときに好きだったカワイコちゃんが、取り巻きだったか男の子二人を連れてやってきたのですが、豊満な腰だの胸だのをガチガチ私にぶつけてくるのにドキドキしたのとセットで開放祭のことは思い出になっています。結局いろいろ努力したにも関わらず相手にしてもらえなかったですけれど。

福生は、前にも書いたのですが、
ハウス、米軍放出品の店等は若い人を引きつける雰囲気を持っていたのですが、
もの凄い爆音の町で、場末のスナックのおばちゃんが変な英語をしゃべったり、ちょっと頭の変なランディーバースみたいな美丈夫の白人のおっちゃんが駅で変な日本語で演説していたり、筋肉をムキムキ出したアフリカ系の兵隊が自転車で疾走していたり、それを何か正視できず、目をそらすみたいな感じで、米軍基地になんだか頭を垂れているような頭を押さえつけら得ているよう、ちょっと卑屈な気持ちが町に漂っているように感じたのを覚えています。
 |承認待ちコメント
# 2010.10.02 Sat14:44
このコメントは管理者の承認待ちです
銀 URL|Re: それって、今でも国全体にそうだったりしない?
#F.S2sd/w Edit  2010.10.02 Sat15:24
ああ、そうかもな。
そういう気分を、沖縄だの、福生だのに押し付けて、みんな見ないふりしているのかもな。
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プロフィール

ぎんよう

Author:ぎんよう
彫刻家でもある鈴木厚が磁器を中心に器を制作しています。

我が家の掃除機の塵の放射性物質
Cs137:641Bq/kg(検出下限39.7)
Cs134:211Bq/kg(検出下限19.3)
Cs合計:852Bq/kg(検出下限58.0)
採取時期:2014/1月~2014/3月

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