大田区所蔵 十一面観音立像

前の記事で、展覧会に行く暇もないと書いたが、そう言えば3週間ほど前に、東京国立博物館に、茶碗の名作を見に行った。

天目(油滴、木の葉)の名作があったが、写真で見るより非常に小さいのだがくっきりと瞼の裏に残っており、多分物凄く素晴らしいものであったのだろうが、今の自分に文章にそれを分析する能力はないし、よく分からないからこそ今愉しく焼き物が出来ていると思っている。
彫刻家時代は、あまりに名作を研究しすぎて苦しくなっていたと言うことが今思うとあるのだ。
しかしこの頃では、いつも一緒にいるには強烈過ぎるのであるが、世の中に絶対いて欲しい信頼できるお友達という感じで、ほんの一分ほど良い彫刻の前に立ち止まるのが楽しみである。

というわけで、東洋館で天目を30分ほどじっくり勉強したあとに、本館の彫刻室で、今までに写真でも見たことのない素晴らしい仏像を見た。
どういう訳か、町工場の印象が強い「大田区」がもっている十一面観音立像。
ネットで調べてみたが、来歴、画像等も見つからず、重要文化財の指定もない。
しかし、十分に国宝のレベルと感じた。

奈良時代の2mちかくの木心乾漆の立像であるが、おろした方の右手が異様に長く、波線状の衣服の表現が印象に残っている。
奈良時代とあったが、、天平最盛期によく感じる例えば東大寺三月堂の四天王像や金剛力士像のように晴れ晴れとした、若々しくバランスのとれた感じに較べて、かなりゴタゴタして翳りがあり、平安初期(貞観、弘仁)の仏像達に近い印象であった。
個人的には縄文土器のような日本列島に太古からあった要素が再び唐様の影響がやや薄くなった時期に再び幽霊、怨霊のように現れてきている彫刻と解釈した。
所謂、貞観、弘仁仏というのは奈良時代、天平期(よく中国の影響が強いと言われる)と藤原仏(例:平等院鳳凰堂の阿弥陀さん、和様)の堂々とした仏像の時代に挟まって、不安定な中で暴れている感じがあって自分にとっては魅力的な時期だ。




他に、始めて見たものに、同じく無指定の山梨の5大明王像(平安時代・11~12世紀)5体全部そろっているがこれもかなりよかった。
あまり一般的にはなじみがないが大名作と自分が思うところの醍醐寺の5大明王(平安後期?)に似た印象。
時期的にはかなり下がるのであるが、奈良京都から離れているためか、平安初期を感じた。
岩手県成島の毘沙門天像が時代が下がっているにもかかわらず、小生には貞観仏の匂いが感じられたのと同じように。。。
ただ、中尊のお不動様は文句なかったが、まわり明王像のいくつかの顔が多分修復のためかと思うのだがやや不自然な印象を受けた。

これらの展示は4月12日までとあった。
http://www.tnm.go.jp/jp/servlet/Con?pageId=B07&processId=00&event_id=5923&event_idx=1&dispdate=2009/03/21

godaimyouou.jpg

以下は醍醐寺、五大明王像から

醍醐寺
だいごじ

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Tag:美術・彫刻・絵画  Trackback:0 comment:4 

Comment

ひ URL|
#- 2009.03.24 Tue22:27
醍醐寺の、。すごく現代的なかんじがしまひた。
現代的。って、形容になってませんが、なんかそんな気がしました。
ポーズなのか、ひらたいこうはいなのか、つくってる人の気分なのか不明。
ちょうどアフリカの仮面をみてて、、こちらはみやげものでしょうが、。

銀 URL|ひ様
#F.S2sd/w Edit  2009.03.24 Tue23:05
後背は後補のものだったとしても、古そうですね。
古いと言っても、像自体が平安後期みたいです。
オリジナルだった気もします。

現代的というのも、どんな感じだか、しかし、この彫刻には何か流れの悪いところがあって、でも、生き生きはしていると言うところが魅力ですね。
例えば、ピカソの最高に充実していた1905年のアビニヨンの娘達からしばらくは、アフリカ彫刻に影響を受けていると言われていますが、キュビズムも流れが悪いところがリアルだったりする気がしていますが、そんなところでしょうか。

ただ、どうも醍醐寺の像も修復がきついようですね。

azam URL|
#- 2009.03.27 Fri21:18
この水牛みたいなのがうんとこさとぼけてて 味がありますね
銀 URL|azam師匠
#F.S2sd/w Edit  2009.03.28 Sat13:40
コメントありがとうございます。

>この水牛みたいなのがうんとこさとぼけてて 味がありますね

ほんとですね。
仏像はいろんなものを持っていたり、何かに乗っていたり、いろいろな要素があって面白いですね。
「彫刻」になると、ある面、内容が研ぎ澄まされる分、余計なものが無さ過ぎて。。。。

そういえば、山形美術館にある、新海竹太郎さんの「ゆあみ」最初のバージョンは題名が書いてある置物っぽい台座に載っていたみたいですが、現存の鋳造されたものは、近代美術館のも山形美術館のも無機的な形のものに乗っています。
良いんだか悪いんだか、それともあの古い台座の原型はなくなってしまってるのだか、作者がかえたのだか、よくわりませんが、個人的にはは、「ゆあみ」と題名の書いてある古い写真のでよいと思いました。





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